ウクレレの選び方

後悔しないウクレレの選び方④【木材の違い編】

ウクレレ専門オンラインショップ「カルチベイト・ウクレレ」です!大手楽器店でウクレレの販売実績日本一だった店主が考える「後悔しないウクレレの選び方」を、初心者の方にもわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

全7回のシリーズの4回目となる今回はウクレレの材料の違いについて解説いたします。前回までの記事をまだ読んでいない方は、ぜひそちらも読んでいただけますとより理解が深まると思います!

後悔しないウクレレの選び方①【予備知識編】 ウクレレ専門オンラインショップ「カルチベイト・ウクレレ」です!大手楽器店でウクレレの販売実績日本一だった店主が考える「後悔しないウクレ...

ウクレレに使われる木材について

ハワイ原産のハワイアンコアや、中南米のホンジュラスマホガニーといった木材がウクレレには伝統的に使われてきました。経済の発展とともに森林資源は徐々に失われていき、楽器に使われるこれらの木材の市場価値は年々上昇しています。

当然、ハワイアンコアやホンジュラスマホガニーを使用したウクレレの価格も上昇。前回もお話ししたように、ハワイアンコア単板ボディのハワイ製ウクレレはいまや15~20万円以上します。

近年ではウクレレの販売価格を抑えるために、アカシアやアフリカンマホガニーなどの代替材や、薄い板を貼り合わせた合板(ラミネート材)が多く使われるようになりました。

材料と価格の関係性

前回の記事で「楽器の価格と性能は比例する」とお伝えしました。ちょっと複雑なのですが、材料と価格の関係をまとめてみました。

※性能とは「演奏しやすさ」「音の良さ」「作りの良さ」「見た目の良さ」といった楽器の価値を総合したものです。 楽器の性能の定義についてはこちらの記事をご参照ください。

価格と性能が比例関係になるロジック

良い材料(≒高価な材料)を使うと音色や耐久性、見た目などが良くなり、材料コストとともにその楽器の価値が上がるので、販売価格が上がります。

価格が上がっても買ってもらうためには「演奏しやすさ」「音の良さ」「作りの良さ」「見た目の良さ」といった価値がさらに高いレベルで求められるようになるため、手間や時間をかけた丁寧で正確な作業が必要になり、結果として価格と性能はどちらも上がっていきます。

これが楽器の性能を上げようとすると価格も上がってしまうロジックです。

安価な材料を使うということの意味

では安価な材料(≒適していない材料)を使った場合はどうでしょうか。音色や耐久性、見た目などが犠牲になるので価値が下がります。

価値が下がれば価格も下げざるを得ず、そのために作業工程を減らしたり、時間を削ったり、検品のレベルを下げたりせざるを得ないため、品質が犠牲になりさらに価値が下がります。

「限界まで安価にした楽器に価値はあるんですか?」と聞かれれば「最も安価であるという価値だけ」だとお答えします。

これが高価な楽器ほど「演奏しやすい」「音が良い」「作りが良い」「見た目が良い」といった価値の合計点数も高くなりやすいという根拠です。

数値化するのは難しいですが、比べてみるとどちらの方が良いかは初心者の方であっても感覚としてわかります。

単板・合板の違いについて

ウクレレの価格を大きく左右するのが、ボディに使われている板が単板合板かという部分です。単板とは無垢の板を使っているもので、楽器が振動しやすいので豊かに鳴り、その木材本来の音色が感じられやすいです。

合板は薄い板を数枚(主に3枚)貼り合わせたものです。合板は強度を得られる反面、弦振動を伝達しにくく、材の特徴や深みのある音色が出にくく薄っぺらい音になりがちです。

同じ木材でも単板と合板では音色が全く違います。単板・合板の組み合わせは4パターンあるので、値段が高い順に並べてみましょう。

単板・合板の組み合わせ
  • トップ(表板)・サイド(側板)・バック(裏板)すべて単板
  • トップとバックは単板、サイドは合板
  • トップのみ単板、サイドバックは合板
  • トップ・サイド・バックすべて合板

このような順になります。例えばスペックに「ハワイアンコア」としか表記されていない場合がありますが、その楽器に使用されているのは「ハワイアンコア合板」である可能性が高いです。

せっかく単板を使っているのに表記しないわけがないですし、逆に合板はあまり良いイメージがないので表記していないことが結構あります。

トップのみ単板の場合はトップとサイドバックの表記が分かれていて、トップのところに「単板」もしくは単板を意味する英語の「Solid(ソリッド)」と書かれているはずです。表記例:Solid Hawaiian Koa(=ハワイアンコア単板)。

合板の場合も「合板」もしくは合板を意味する英語の「laminated(ラミネート)」と表記してあります。

Famousのように同じ木材を互い違いに3枚貼り合わせた合板もあれば、正体不明の木の板に木目のシートみたいなものを貼っただけという見せかけの合板もあります(安い合板ウクレレはほとんどそうです)。

ビルダー(個人製作家)の製作したウクレレの場合、ボディはすべて単板なのが当たり前だったりするので、わざわざ表記していないことも多々あります。

ボディ材による音色の特徴

ハワイアンコア

ウクレレの最もスタンダードな材料として人気です。美しい木目の出たグレードの高い材はカーリーコアと呼ばれ、最上級のものは非常に貴重で高価ですが、音色にはさほど関係がないと言われています(杢のあるものの方が比較的柔らかく、音色も柔らかくなる傾向はある)。

一般的に「コロコロっとした」とか「カラッとした」と形容される音色。良質な材のものはカラリとしているけど独特の艶や芯のある音色がします。ハワイっぽいとか、ウクレレらしいと言われる音色ですね。

アカシア(ハワイアンコアの代替材)

ハワイアンコアの代替材で、同じアカシア属の従兄弟のような木。東南アジア産のものを「アカシア」と呼びます。見た目も音色もコアと似た特徴を持ちますが、ハワイで育ったコアとはやはり別物です。

似た材でオーストラリア産の「タスマニアン・ブラックウッド」というものもあります。ハワイアンコアに比べて安価なので、低価格帯(だいたい10万以下)の楽器に採用されています。

ホンジュラスマホガニー

ギターで有名なアメリカのMartin社が100年ほど前にウクレレに採用した、ハワイアンコアと並ぶ代表的なボディ材です。一般的にマホガニーの音色は柔らかい、まろやか、甘いといった表現がされます。

個人的には良質なホンジュラスマホガニー材の場合、たしかに音の輪郭は丸いですが透明感がありシャキッとした音がすると感じます。木目はシンプルなものが多いです。ネック材としても優れた材です。

アフリカンマホガニー(ホンジュラスマホガニーの代替材)

ホンジュラスマホガニーの代替材です。マホガニーとだけ表記されている場合、こちらのアフリカンマホガニーである可能性が高いです。

マホガニー特有の柔らかさ、丸さはあるのですが、ホンマホに比べて透明感やシャキッと感が乏しく、音も軽め。見た目の違いはアフリカンマホの方が濃淡の縞模様が出ているものが多いです。ホンマホに比べれば安価なので、低価格帯の楽器に採用されています。

同じくらいの価格なら「アカシア単板」と「ハワイアンコア合板」どっちがおすすめ?

アカシア単板の中国製ウクレレと、ハワイアンコア合板の国産ウクレレは価格的に同じくらいになります(3万円くらい)。

音色だけならアカシア単板の方が優れていると思います。合板は板自体が振動しにくいラミネート構造になっており音質が犠牲になっているからです。単板は振動しやすいので豊かに鳴り、その木材本来の音色が感じられやすいです。

反面、安価なモデルでは材料以外のコストを下げるために品質管理がおろそかになる傾向があり、フレットのバリがひどかったり、ネックが反っていたり、弦高が高すぎる・低すぎるなど演奏に支障が出るほどコンディションが悪いものも結構あります。

そのあたりは注意が必要です。低予算なら合板でも弾きやすい、扱いやすいものを選ばれた方がいいかもしれません。

ハワイアンコアとマホガニーの特徴を解説した動画も作ってみました

その他の木材

マンゴー

マンゴーはコアとマホガニーの中間的な音色がする材です。コアほど明るくカラッとした音色ではありませんが、しっかり芯がある感じはコアに近く、低音はしっかり出てマホガニーのような柔らかく暖かみのある落ち着いた音色がします。

見た目は黄色っぽくてムラがあり、黒い縞模様などワイルドな木目が特徴的。音にはあまり関係ありませんが、カーリーが出ているマンゴーはとても貴重です。

スプルース(松)、シダー(杉)

スプルースやシダーのような針葉樹はアコースティックギターのトップ材として一般的な材料で、コアやマホガニーに比べ軽くて鳴らしやすい。

反面、ボディ全体に使うと音が軽くなりすぎてしまうので、ウクレレでも主にトップ材のみに使われ、サイドバックにコアやローズウッドなどを使うことで全体のバランスをとることが多いです。

スプルースは白っぽく、シダーはやや赤茶っぽい。スプルースは透明感のある音、シダーは暖かみのある音と言われています。他にもシダーに似た特徴を持つ材として「レッドウッド」という材もあります。

メイプル

バイオリンの裏板や、ギターのネックや指板にも使われる材です。

材質が硬く軽いので、音色も硬めで軽やかな音色が特徴です。美しい杢目の出たカーリーメイプルも人気です。ボディをすべてメイプルにしてしまうと音が硬く軽くなりがちですが、メイプルにしか出せない音というのも確かにあります。

色は白っぽく清楚な印象があるので、かわいらしいウクレレが好きな人にも人気があります。

ローズウッド

ギターのサイドバック材として一般的な材料です。コアに比べて材質が重く硬いので、音色は重厚で、しっかり鳴らすにはエネルギーが必要です。

ボディ全部をローズウッドにしてしまうと鳴りにくくなってしまうので、ギター同様サイドバックのみに使われることが多いです。色は濃い茶色で黒褐色の縞模様があります。ウクレレでは指板やブリッジにもよく使われます。

ハカランダ

ブラジリアンローズウッドとも呼ばれる楽器用木材の最高級材。荒々しく美しい黒褐色の木目、硬く重厚な材質から生まれるクリスタルのような煌びやかな音色は、この材でしか味わうことができません。

ローズウッド同様、重く硬く鳴らしにくい材なのでサイドバックのみに使われることが多いですが、セイレンさんのオールハカランダウクレレは新品時から素晴らしいサウンドです。

楽器の重さと音色の関係

楽器の重さと音色には相関関係があります。木材自体の重さの違いもありますし、同じ木材でもメーカーによって重かったり、軽かったりと違いがあります。

一般的なボディ材であるハワイアンコアやホンジュラスマホガニーを基準にしたとき、それよりも重い木材(重い楽器)ほど響きにくく、しっかりと弾かないと音が出にくくなり、軽くなるほど楽器が響きやすく弱く弾いても鳴らしやすいと感じます(軽すぎる楽器は鳴らしやすい反面、芯がなく深みのない軽い音になってしまいます)。

重い木材は硬いので、音色も硬質で重厚になりがちですし、軽い材は柔らかいので、音色も軽く柔らかくなる傾向があります。

「バランスよくウクレレらしい音色がする」というのがハワイアンコアやマホガニーが人気の理由なのかもしれません。

ボディ以外に使われる材料

ネックに使われる木材

ホンジュラスマホガニーとその代替材アフリカンマホガニーが一般的です。数は少ないですが、ネックや指板までハワイアンコアで作っているウクレレもあります。

指板に使われる木材

エボニー、ローズウッドが耐久性もあり一般的です。ローズウッドに比べてエボニーは重く硬い材なので、その分澄んだサウンドになり1音1音が明瞭になります。

エボニーは見た目が真っ黒なものほど高級で、縞模様の入ったものより人気があります(音色にはほとんど影響なし)。明るい色の指板が好みであれば、メイプルやコアの指板もあります。

ブリッジに使われる木材

近頃はエボニーやローズウッドが一般的ですが、軽量なマホガニーやハワイアンコアが使われることもあります。見た目に統一感が出るので指板と同じ材を使うことが多いです。音色など楽器全体のバランスで決められていることが多いと思います。

サドル、ナット

どちらも牛骨が一般的ですが、安価な楽器にはプラスチック製のものが使われています。コアロハのウクレレにはグラフテック社の「タスク」という人工象牙のものが採用されています。デルリンやジュラコンという高機能プラスチックも人気があります。

ペグ

おおまかにフリクションペグ、ギアペグの2種類あります。定期的にネジを締めなきゃいけないし、チューニングも合わせにくいという理由で、現在フリクション(摩擦)タイプを採用しているメーカーはほぼありません。

ただ、ギアペグだからと言って低価格・低品質なものは非常にチューニングがしづらいのでおすすめしません。

ゴトーやウェーバリーの高級機種であればフリクションペグでもチューニングに困ることはほぼありませんので、見た目や軽量さを重視して採用されるケースもあります。

1番人気があるのはゴトーのUPTというペグで、10万円〜の高級機にはたいていこのペグがついています。

見た目がフリクションペグに似ていてややこしいのですが、UPTは中にギアが入っており非常にチューニングがしやすいです。4個セットで1万円以上する高級品なので安価な楽器にはついていません。

装飾

装飾で代表的なのはボディの縁を飾るバインディングやパーフリングです。指板やヘッドにインレイという装飾が入ったものもあります。装飾が多いほど手間がかかり価格も上がります。

基本的に装飾が音に与える影響はそれほどありません(諸説あり。とても影響すると考えるビルダーさんもいらっしゃいます)。

ただ、見た目がカッコ良いウクレレは持っていてテンションが上がるので、豪華な装飾が好きな人にとってはモチベーション維持に絶大な効果を発揮します。

「木材による差」と「メーカーによる差」どっちが大きい?

これはとても重要なポイントです。

同じメーカー、同じ製作家が作った楽器であれば、木材による音色の差はわかりますよね。

メーカー(作り手)は違うけど同じ木材を使った楽器を弾き比べてみるとどうでしょう?木材の違いによる差以上に、メーカー(作り手)の違いによる差の方が大きいことがよくわかります。

材の違いよりも、ボディ形状や内部構造など全体の設計の違い、技術力や工法の違いの方が音に大きく影響するということです。

弾きやすさや扱いやすさもメーカーごとに大きく違ってきますので、いくつかのメーカーの楽器を触ってみて、気に入ったメーカー、モデルが見つかったら材料を検討していく、という順番がおすすめです。

最初から「ハワイアンコア単板の楽器が欲しい!」という強いこだわりがあれば、いろいろなメーカーのハワイアンコア単板モデルを弾き比べてみて1番弾きやすくて音色や見た目が好きなものを選ぶと良いと思います。

まとめ

あなたは音フェチですか?それとも面食いですか?

木材の違いは音色と見た目に大きく関係してくる要素です。

どちらも良い楽器を選ぶ上でとても重要なので、音色も見た目も妥協せずに選びたいところではありますが、自分がどこに重きを置いているか知っておくことはとても重要です。

音フェチ(良い音を聞くことが至福)なのか、面食い(ヴィジュアルが好みのものを見ることが至福)なのかは個人差がありますので、音フェチなら音色重視で選んだほうがいいですし、面食いなら見た目重視で選んだほうが幸せになれます(これは個性なので、他の人の意見に惑わされない方がいい部分です)。

さて、次回はメーカーごとのウクレレの特徴について解説していきたいと思います!

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ウクレレのことなら何でもご相談ください!

私は全国展開している某楽器店でウクレレのトップ販売員として国内のウクレレ製作家さんやウクレレプレイヤーの方々との親交を深めてきました。製作家さんやプロのミュージシャンとお話しすることで、たくさんのことを学びました。店頭でたくさんのお客様と接することでも、とても多くの知見を得ました。ウクレレをお探しの方へのカウンセリングや購入相談の経験には特に自信があります。

当店は、従来の「お店にあるものの中からお客様に選んで買っていただく」だけでなく、しっかりとお客様のご要望をお伺いしてお客様にとって最適なウクレレ(それが当店に在庫がない商品だとしても)をご提案させていただきたいと考えています。これまでの経験と人脈を活かし、お客様のウクレレ生活をより楽しく豊かなものにできるようサポートしてまいります。お気軽にご相談ください!

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ネットショップではありますが、お電話での接客、ZOOMやLINEなどのビデオ通話を使った接客も行っております(事前にご予約ください)。長野県松本市に事務所がございますので、松本までお越しいただければ実際に手に取って商品をご覧いただくことも可能です(こちらも事前にご予約をお願い致します)。電話や来店のご予約はオンラインショップの問い合わせフォームからお願い致します。

実は下取・買取もできます!

当店は長野県公安委員会から古物商の営業許可を受けておりますので、ウクレレの買取や中古楽器の販売をすることができます。買取査定は基本的にオンラインでさせていただき、宅配買取(こちらから箱を送りますので、必要書類と楽器を入れて送り返していただく)か、事務所(長野県松本市)の近くにお住まいだったり、売却したい本数が多い場合には出張買取もご相談ください。