豆知識・お役立ち情報

チューニングしやすいペグならウクレレを弾くのがもっと楽しくなる!

ウクレレのペグについて

ウクレレのペグって世の中にものすごーくたくさんあります。値段も品質もピンからキリまで。ウクレレは最初にチューニングを合わせても演奏中に狂ってきてしまうものなので、1日に何回もチューニングします。

どんなに高級な楽器で、高級なペグを使っていても狂います。不良品ではなく、ウクレレとはそういう楽器なのです(特にナイロン弦は温度や湿度によって伸び縮みしやすい素材なので、フロロカーボン弦より狂いやすいです)。

ということで、ウクレレはペグが使いにくいと地獄なんです。ストレスなくチューニングができるということは、ウクレレQOL(ウクレレ生活の質)が爆上がりするということなんです。練習に対するモチベーションにも影響します。そのくらいペグって大事なパーツなんです。

今日はそんなペグについてお話ししていきたいと思います。ものすごくたくさんあると書きましたが、大きく分けると「フリクション(摩擦)ペグ」と「ギア(歯車)ペグ」の2種類。まずはフリクションペグから解説していきます!

フリクションペグ

バイオリンペグ(木ペグ)

1910年代〜20年代ごろに作られたMartinのウクレレにはバイオリンのペグと同じねじ込み式の木ペグが使われていました。木と木の摩擦で弦を留めているため、緩みやすく、微調整も難しい根気のいるペグです。もちろんちゃんと調整されていれば木ペグでもスムーズに動くし緩んできたりしません。でもやっぱり不便なので今ではほとんど使われていません。

木ペグは1本3g程度と超軽量なので、木ペグ時代のMartinは驚愕するほど軽いものが多いです。総重量250gとか。(一般的な現代のソプラノで約400g)

↑1920年代 Martinの木ペグ

「Pegheds(ペグヘッズ)」という木ペグそっくりの見た目をしたギアペグも存在します。

↑Peghedsの木ペグ型ギアペグ

フリクションペグ

ここ10年くらいでフリクションペグもほとんど見なくなりました。構造的にギアペグより軽いというメリットがありますが、スムーズに動かしにくく、緩みやすいというデメリットの方が大きすぎるからです。スプリングや弾力性のあるワッシャーが入ったものや、精度の高いもの(GOTOH製とか)は結構スムーズに動くしチューニングが安定してしまえば問題なく使えるんですが、それでもギアペグほどの安心感はありません。

下の写真はMartinが1920年代に使用していたGroverのNo.76というフリクションペグです。中にバネが入っていて緩みにくい構造になっています。木ペグには敵いませんが、1個あたり9gと結構軽いです。僕はこのペグの見た目がとにかく大好きなんです。

↑Grover No.76(1920年代)

Waverly(ウェーバリー)がこのペグにそっくりな見た目のフリクションペグを作っていて、ヴィンテージマーティンの外観を損なわないリプレイスメント(交換用)パーツとして人気です。フリクションなのにUPTと変わらないくらい高価ですが、とにかく見た目がかっこいい。ノブ(つまむところ)がコア、エボニー、アイボロイドの3種類あります。

↑Waverlyのフリクションペグ(現行品)。見た目も重さも忠実に再現。

Waverly ウェーバリー ウクレレ用 フリクションペグ(4個セット)

↓GOTOH製のフリクションペグ

ギアペグ

オープンタイプ 

現在主流となっているのがギアペグです。低価格帯のウクレレでは減速比1:14のオープンタイプがよく使われています。ツマミを14回転させるとポスト(弦巻いてあるところ)が1周するということですね。

フリクションはギア比1:1(というか軸をそのまま回しているだけでギアは存在しない)なので、それに比べるとものすごーく細やかにチューニングができるってことです。その分、弦交換の時などものすごーくたくさんツマミを回さなければならないので大変です。ストリングワインダー必須です。

GOTOHのUK12という特殊アルミ材のもののように1個あたり11g程度と軽量なものもあります。FamousやLUNAについてるGOTOH製のオリジナルペグは見た目が似ていますが、素材が違うようで19gと結構重かったです。

Famous オリジナル F-2ペグ

オープンギアタイプは精度を気にしなければかなり安いものもあるので低価格帯のウクレレはほとんどオープンタイプのギアペグに置き換わっています。ただし、同じような見た目でも精度の違いによって使いやすさに雲泥の差があるので要注意。安いウクレレには値段相応の精度のペグがついていると思っておいてください。

↓GOTOH製のギアペグ。UK12は高価ですが特殊アルミ素材なので軽量です。

ツマミを回した時に「ガタつきなく滑らかに動く」というのがペグの精度の高さです。回した時のトルク感が軽すぎず、重すぎず、滑らかだと合わせたいところにピタッと合わせられるし、ガタツキがなければ狂いにくくなります

スロッテッドヘッド用のペグもオープンタイプが主流ですね↓

↑GOTOH SEP780

プラネタリー(遊星)タイプ

GOTOHのUPTという遊星歯車(=プラネタリーギア)を使った減速比1:4のギアペグです。ツマミを4回転させるとポスト(弦巻いてあるところ)が1周します。

ウクレレのチューニングに関して言えば、ギア比が大きければ大きいほどチューニングしやすいということもなく、この1:4というギア比がとても使いやすいと感じます。重量は1個あたり14gありますが、精度と耐久性を高めた結果と思えば納得です。遊星歯車の仕組みについては各自ググってみてください。

伝統的なフリクションペグのようにヘッドの後ろにまっすぐ飛び出したツマミが回しやすいですね。ヘッドの横に飛び出したギアペグのツマミはとくに1、2弦側が回しにくかったりします。そんなこんなで、現在高級なウクレレにはほぼほぼこのUPTペグが搭載されています。ハワイの老舗ウクレレメーカーKAMAKAも数年前からUPTペグを採用しています(たしか100周年モデルから変わったので2016年からかな)。

↑GOTOH UPT プラネタリーチューナー

注意していただきたい点

ペグの交換は取り付け穴を広げたり、取り付けネジ用の下穴を開けたりそれなりの知識と技術が必要です。DIYでできないことはありませんが、大切なウクレレであれば信頼できるリペア店にお願いするのが安心です。

個人製作家の高級なウクレレや、古いMartinみたいにヴィンテージとしての価値があるようなウクレレの場合、交換することで価値が下がってしまうこともありますのでご注意ください。

ペグは本体に相応しいペグが付いていることが多いので、安価なウクレレのペグだけを良いものに交換するということはあまりおすすめしません。その工賃とパーツ代を取っておいて、もともと良いペグのついたワンランク上のものを買った方がウクレレQOLはきっと上がると思います!

まとめ

UPTペグは高級品ですが、お使いいただければその差がきっとわかります。見た目にこだわりがなければUPTペグが最高のウクレレペグだと個人的に思っています。ただ、軽さや見た目を重視してあえてフリクションを選ぶのももちろんありだと思います(使っててストレスが少ないのは確実にUPTですが)。

以上、ウクレレのペグについてでした!

ウクレレのことなら何でもご相談ください!

私は全国展開している某楽器店でウクレレのトップ販売員として国内のウクレレ製作家さんやウクレレプレイヤーの方々との親交を深めてきました。製作家さんやプロのミュージシャンとお話しすることで、たくさんのことを学びました。店頭でたくさんのお客様と接することでも、とても多くの知見を得ました。ウクレレをお探しの方へのカウンセリングや購入相談の経験には特に自信があります。

当店は、従来の「お店にあるものの中からお客様に選んで買っていただく」だけでなく、しっかりとお客様のご要望をお伺いしてお客様にとって最適なウクレレ(それが当店に在庫がない商品だとしても)をご提案させていただきたいと考えています。これまでの経験と人脈を活かし、お客様のウクレレ生活をより楽しく豊かなものにできるようサポートしてまいります。お気軽にご相談ください!

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ネットショップではありますが、お電話での接客、ZOOMやLINEなどのビデオ通話を使った接客も行っております(事前にご予約ください)。長野県松本市に事務所がございますので、松本までお越しいただければ実際に手に取って商品をご覧いただくことも可能です(こちらも事前にご予約をお願い致します)。電話や来店のご予約はオンラインショップの問い合わせフォームからお願い致します。

実は下取・買取もできます!

当店は長野県公安委員会から古物商の営業許可を受けておりますので、ウクレレの買取や中古楽器の販売をすることができます。買取査定は基本的にオンラインでさせていただき、宅配買取(こちらから箱を送りますので、必要書類と楽器を入れて送り返していただく)か、事務所(長野県松本市)の近くにお住まいだったり、売却したい本数が多い場合には出張買取もご相談ください。