豆知識・お役立ち情報

ウクレレ用ピックアップの種類・特徴・それぞれのメリット/デメリット

みなさんのウクレレにはピックアップがついていますでしょうか?エレキウクレレとしてピックアップが付いた状態で売られているものもありますが、多くのウクレレにはついていません。必要になったタイミングで、自分の用途に合ったものを用意することが多いのではないかと思います。

ピックアップにもさまざまな製品があり、正直どれを選んだらいいのかわからない!という方も多いのではないでしょうか?専門用語も多く、馴染みのない方にはチンプンカンプンな内容かもしれませんが、なるべくわかりやすく解説したつもりですのでよかったらぜひ最後まで目を通してみてください。

ピックアップとは?

簡単にいうと、音を電気信号に変える装置のことです。

音を電気信号に変えるとどんなことができるかというと、

スピーカーやアンプから大きな音で鳴らすことができる

生音では足りないくらい広い会場で、たくさんの聴衆にウクレレの音を届けることができます。ドラムやエレキギター、管楽器など大音量の楽器と一緒に演奏をする際も音を大きくする必要があります。

エフェクトをかけたり音色を変えることができる

ライブや録音されたウクレレの音というのは少なからずエフェクトがかかっています。リバーブは空間の広がりに音が響き渡るような感じを生み出し、イコライザーはカリカリした音を丸くしたり、ボワボワした低音をスッキリさせたりすることができます。

ウクレレは生音でもじゅうぶん素敵な音色ですが、エフェクトをかけることで好みの音を作ることが可能になります。

録音することができる

録音だけならスマホやカメラの内蔵マイクでもできますので必ずしも必要ではありませんが、オーディオインターフェースなどを介してパソコンのDAWソフトに録音したいときにはマイクやピックアップが必要になります。


ざっとこんな感じです。

①〜③をすることがないのであれば、ピックアップをウクレレに取り付ける必要はありません。

ピックアップとマイクって何が違うの?

ピックアップとマイク、どちらも音を電気信号に変えるという目的は同じですがその仕組みが少し違います。

マイクにはダイヤフラムという振動を受け止める板状のパーツがあり、そこに音がぶつかり振動させることで電気信号を生み出します。

ピックアップには主にピエゾ素子という素材が使われていて、振動によって発生する圧力を電気信号に変えています。

そのためマイクとピックアップでは得意分野が違ってきます

それぞれのメリット・デメリット

マイクのメリット・デメリット

マイクはカラオケなどで使うマイクと原理は同じで、音源(音が出ているところ)に向けて、音を拾います。そのため耳で聞いているのに近いナチュラルな音を拾うことができます。マイクはピックアップに比べてウクレレの生音に近い音色で収音できるというのが最大のメリットです。

ウクレレに取り付けるタイプと、マイクスタンドに立てるタイプ(カラオケで使うような持ち手のあるマイク)があります。演奏中にマイクと楽器の距離や角度が変わってしまうと音量が小さくなったり、音質が変わってしまったりするので、マイクスタンドに立てる場合は楽器を動かさないで演奏する必要があります。取り付けるタイプなら動きながら弾いても問題ないし、距離や角度なども気にする必要がなくなります。

さらに、収音の仕組みの違う「コンデンサーマイク」と、「ダイナミックマイク」の2種類があります。

コンデンサーマイク

感度が高く、繊細な音色まで収音できる反面、不要な環境音(車の排気音、足音、動物の鳴き声など)も拾いやすく、ハウリングしやすい。構造が精密なのでデリケート。ファンタム電源という電力を供給できる機材を持っていないと使えない。レコーディングスタジオなど環境の整った場所で使われることの多いマイク。接続にはXLRケーブルというファンタム電源を送ることができるケーブルが必要です。

ダイナミックマイク

感度が低く、狙った音だけを拾いやすくハウリングにも強い。ファンタム電源が無くても使用することができるので手軽。タフなつくりなのでライブなどで少々乱暴に扱っても大丈夫。ゲイン(音量)が小さめなので、ミキサーやアンプで音量を上げすぎるとハウリングしたりノイズが目立ったりすることもある。ファンタム電源は使いませんが、接続にはXLRケーブルを使用します。

ピックアップのメリット・デメリット

マイクと違い、ピックアップは基本的にウクレレに取り付けるものです。ピックアップは主に「アンダーサドル(インブリッジ)」タイプと、「コンタクト」タイプの2種類があります。それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

アンダーサドルピックアップ

圧力を電気に変えるピエゾ素子をサドルの下に敷いて弦の振動をダイレクトに拾います。そのため不必要な音を拾いにくく、ノイズも乗りにくい。生音とはかなり違ったピックアップ特有の音色になってしまいますがハウリングに強いのが特徴です。

取り付けるためにサドルやブリッジを削ったり、細かな調整が必要なためプロに依頼する必要があり、工賃も高め。電池やバッテリーが必要なプリアンプが内蔵されているアクティブタイプと、電源不要で手軽なパッシブタイプがあります。

エンドピン部分に穴をあけてジャックを設置し、そこからシールドケーブルを使用してアンプなどに接続します。演奏中にマイクと楽器の距離や角度などを気にする必要もありません。

コンタクトピックアップ

ピエゾ素子をボディに貼り付けてボディの振動を拾います。アンダーサドルタイプよりも生音に近い音色になりますが、ボディの振動を多く拾う分、ボディに指や服が擦れる音など不必要な音も拾いやすく、ハウリングにも弱くなります。

電源不要のパッシブタイプが主流で、アンダーサドルに比べて安価なものが多いです。出力が小さすぎる場合、プリアンプなどで信号を強くして音量を上げてもノイズが乗りにくくすることをおすすめします。

エンドピン部分に穴をあけてジャックを設置し、そこからシールドケーブルを使用してアンプなどに接続します(加工が不要なものも存在します)演奏中にマイクと楽器の距離や角度などを気にする必要はありません。

メリット/デメリットのまとめ

☆自然な音色(生音に近い音色)

マイク > コンタクト > アンダーサドル

☆ハウリング耐性(ハウリングに強いほど音量を上げられる)

アンダーサドル > コンタクト > マイク

※これらのメリット・デメリットを踏まえて、マイクとピックアップの音をブレンドできるモデルもあります。

ピックアップ/マイクの選び方

ピックアップを選ぶ前に、まず用途を明確にしておきましょう

アマチュアの方の場合、小さな会場でのライブ、オープンマイク、発表会などで使うことが多いのではないでしょうか。

ソロウクレレでしっとりと聴かせるようなライブなのか、にぎやかなバンド演奏の中で埋もれないくらいに音量を上げたいのか、ウクレレの自然な音色で録音したいという方もいるかもしれません。

まず大前提として、ライブにマイクやピックアップは必須ではありません

そもそもそれほど大きくない静かな部屋の中であれば、生音でもじゅうぶん聞こえます。電気信号に変えるなんてことをせず、最も自然な生の音をそのままお客さんの耳に届けられます。

複数の楽器によるアンサンブルの場合でも同じくらいの音量の楽器しかいなければ生音でもよいかもしれません。弾き語りでもウクレレと歌の音量のバランスが良ければどちらも生音で良いかもしれません。

音量をもっと大きくしたい場合、ピックアップやマイクが必要になってきます。

会場が広かったり、反響しやすい空間だったり、生音だけだと明瞭な音が届けられないですし、生ドラムや管楽器など音量の大きい楽器と一緒に演奏する場合、生音ではとうてい太刀打ちできませんので他の楽器のなかでも聞こえるように音量を上げる必要があります。

それから、ウクレレの音色を調整したり、エフェクトをかけたい場合にもピックアップやマイクが必要になります

歌を歌うときにエコーがかかっていた方が歌いやすかったり、歌っていて気持ちよかったりしますよね。ウクレレも同じで、エコー(一般的にはリバーブ)というエフェクトを少しかけてあげると気持ちよく演奏できます。

ちょっと高音がカリカリしてるなーと思ったらイコライザーで高域を削って音を丸くしたり、低音がモコモコしてこもったように聞こえる時は低域を削ってスッキリとした音色にすることもできます。

まとめると

①音量をもっと大きくしたいときと、②音に味付けをしたいときに、ピックアップやマイクが必要になるということです。

取り付け方法で選ぶ

楽器に穴をあけたり加工したくない場合

大事なウクレレに穴をあけたり、加工はしたくない!という方。いらっしゃいますよね。

そんなとき、一番シンプルなのはウクレレの前にマイクを立てる方法です。

マイクスタンドを設置して、ウクレレの正面から30cmくらい離してサウンドホールを狙います。

弾きながら動いてしまって、向きや距離が変わってしまうと音をうまく拾えなくなってしまうので、じっと座って弾く場合に適しています。

もし立って動きのある演奏をしたい場合は、サウンドホールに引っ掛けるタイプのダイナミックマイクか、マグネットでボディをサンドイッチして取り付けるようなコンタクトピックアップを選びましょう。

エンドピンジャックからシールドを出すよりも、ケーブルが目立ってしまうというデメリットはありますが、加工を必要とせず、必要な時だけ付けられるというのは大きなメリットだと思います。

環境にもよりますがこれらの方法はハウリングしやすいので、大きな会場でたくさんの聴衆に届けたいとか、ドラムや管楽器がいるようなバンドの中でも聞こえるくらい大きな音量が必要ならアンダーサドルピックアップを使った方がいいかもしれません。

生音とはだいぶ違う音色になってしまいますし、取り付けに加工も必要ですが、演奏が聞こえなければ本末転倒ですからね。

加工が必要なタイプのメリットは、配線を内部に隠せるので見た目がすっきりする、楽器の目の前にマイクを置く必要がないのでお客さんからも演者や楽器がよく見える、セッティングはケーブルを繋いでボリュームを上げるだけという手軽さなどが挙げられます。

音色の好みで選ぶ

自分の好きなプレイヤーが使っているものを真似するのもひとつの方法ですが、大きな会場でパフォーマンスするようなミュージシャンはバンドをバックにしたりすることもあるので大音量でもハウリングしにくいアンダーサドルピックアップを使っている方が多いように思います。

出音のナチュラルさにこだわるのであればアンダーサドルとマイクのブレンドができるタイプもおすすめです。生音に近い自然な音色を求めるのであれば、やはりマイクの方がおすすめですが、先にお話ししたように距離や向きなどを気にしたり、ハウリングしないように音量を上げないといけないので、多少PAの知識がないと扱いが難しいと感じるかもしれません。

おすすめのマイク/ピックアップ

マイクスタンドに立てるタイプのマイク

SHURE SM57 

楽器用ダイナミックマイクの定番モデルです。

音は良いのですが、ゲイン(簡単にいうと音量)が小さいので、あまりマイクとウクレレの距離を離しすぎると音が小さくなってしまいます。ウクレレはそれほど大きな音量が出ないし、マイクを近づけることも難しいのでゲインの部分をマイクプリアンプなどでクリアできれば問題なく使えます。

AKG P170

ペンシル型の楽器用コンデンサーマイクです。

コンデンサーマイクはファンタム電源を供給できるミキサーなどが必要になりますが、高音域のヌケが良く、音の解像度も高いです。ダイナミックマイクのSM57に比べて大きな音で録れるので少しくらい離して設置してもOK。ハウリングにさえ気をつければライブでも問題なく使えます。

加工なしで取り付けられるマイク

OBANA MICROFONE OBA-U1

サウンドホールに引っ掛けてボディ内に仕込むタイプのダイナミックマイクです。ヴィンテージMartinなど取り付けできないウクレレもあるので注意が必要ですが、200Hz以下の低域をカットしているのでノイズも少なく、ハウリングにも強く、音もかなり生音に近いです。取り付けにひと手間かかりますが、立って体を揺らしたり、ある程度動きのある演奏にはこのタイプが向いていると思います。XLRケーブルがついているので、そのままマイク入力に繋ぐことができます。

取り付けに加工が必要なピックアップ

L.R.Baggs/ FIVE-O (アンダーサドル)

シンプルなアンダーサドルタイプの定番モデル。ボディエンドにジャック用の穴と、ブリッジにピエゾを通す穴をあけ、サドル(もしくはブリッジ)を削って取り付ける必要があるためリペアに出す必要があります(ピックアップ代とは別に取り付け工賃がかかります)。取り付けに加工を伴いますが、軽量なのでウクレレの生音にはあまり影響がないと感じます。

2nd factor /APU-2S(コンタクト)

ボディトップの裏側に貼り付けるタイプのピックアップです。アンダーサドルタイプよりも自然なボディ鳴りが拾えます。エンドピンジャック式なのでボディエンドに穴をあける必要があります。(ピックアップ代とは別に取り付け工賃がかかります)小型軽量なので、楽器の響きに影響を与えにくく、小さなソプラノウクレレにも向いています。

MISI/ Acoustic Trio Air(ハイブリッド)

FIVE-Oと同じアンダーサドルピックアップに、携帯電話などで使われる超小型のMEMSマイクを組み合わせたハイブリッドモデル。アンダーサドルとマイクをブレンドすることで双方の弱点を補い合うことができます。充電式なので電池交換が必要ないのも嬉しいポイント。取り付けはプロに任せましょう。

まとめ

有名ブランドの高級品から中国製の超低価格のものまでピックアップも今では星の数ほどの製品があります。でも、種類は意外と少ないんです。それぞれの特徴を掴んで、自分に合ったものを選んでいただければと思います。この記事が皆様のピックアップ選びの参考になれば幸いです!

2024年夏号のウクレレマガジンの特集が「ウクレレのエレクトリック化」でしたので、ぜひそちらも読んでみてくださいね!

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ウクレレのことなら何でもご相談ください!

私は全国展開している某楽器店でウクレレのトップ販売員として国内のウクレレ製作家さんやウクレレプレイヤーの方々との親交を深めてきました。製作家さんやプロのミュージシャンとお話しすることで、たくさんのことを学びました。店頭でたくさんのお客様と接することでも、とても多くの知見を得ました。ウクレレをお探しの方へのカウンセリングや購入相談の経験には特に自信があります。

当店は、従来の「お店にあるものの中からお客様に選んで買っていただく」だけでなく、しっかりとお客様のご要望をお伺いしてお客様にとって最適なウクレレ(それが当店に在庫がない商品だとしても)をご提案させていただきたいと考えています。これまでの経験と人脈を活かし、お客様のウクレレ生活をより楽しく豊かなものにできるようサポートしてまいります。お気軽にご相談ください!

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当店は長野県公安委員会から古物商の営業許可を受けておりますので、ウクレレの買取や中古楽器の販売をすることができます。買取査定は基本的にオンラインでさせていただき、宅配買取(こちらから箱を送りますので、必要書類と楽器を入れて送り返していただく)か、事務所(長野県松本市)の近くにお住まいだったり、売却したい本数が多い場合には出張買取もご相談ください。