ウクレレを選ぶときに重要な項目のひとつが「弾きやすさ」です。YouTubeの商品解説動画や、ブログ記事などを見ると「とても弾きやすいウクレレです」みたいな説明がありますよね。弾きやすさの感じ方はとても主観的なものなので、ある人にとっては弾きやすくても、あなたにとっては弾きにくいかもしれません。では、どこがどう違うと弾きやすいと感じるのでしょうか?今日はそんなところを掘り下げていこうと思います!
本題に入る前に「そもそも良いウクレレってどんなウクレレ?」ということについて軽く説明しておきたいと思います。
そもそも「良いウクレレ」ってどんなウクレレ?
どこに重点をおいて選ぶかは人それぞれですが、以下の5項目の点数が高いものほど良いウクレレということになります。
- ①音色の良さ
- ②作りの良さ
- ③弾きやすさ
- ④見た目の良さ
- ⑤コスパ(価格の妥当性)
各項目の詳細についてはこちらの記事で解説していますのでぜひ読んでみてください。
今回はこの5項目のうち、「弾きやすさ」について解説していきたいと思います。そもそも弾きやすいウクレレってどんなウクレレのことでしょうか?弾きやすいウクレレの見分け方はあるのでしょうか?ウクレレの「弾きやすさ」に関連するポイントを7つにまとめてみました。順にみていきましょう!
「弾きやすさ」が変わる7つのポイント
①サイズ(スケール)
基本的なことですが、弾きやすいウクレレは当然「構えやすい」です。ボディサイズやスケール(弦長)は音色にも大きく影響する部分なので、単に体格だけで決めることはおすすめしませんが、合わないサイズだと弾きづらくなるので注意が必要です。
手が小さいのにテナーのような長いスケールの楽器を選んだり、手が大きく指も太いのにソプラノスケールを選んだりすると弾きにくく感じるかもしれません。
スケールが長くなるほど弦の張りは強くなるので音の張りやサスティーンが得られる反面、押弦に力が必要になります。ボディサイズの違いについてはこちらの記事で解説していますのでぜひ読んでみてください。↓
②ボディの形状
ボディの幅と厚さでボディの容積がだいたい決まりますので、サイズ同様に構えやすさだけでなく音色にも影響します。
ボディは薄い方が右腕で挟んだ時にしっくりくる傾向がありますが、決して薄ければ薄い方が良いといいものではなく、ボディが薄くなるとラジオボイス(昔のラジオから聞こえたような音)という低域と高域がカットされた独特の音色になることがあります(その音色が好きだという方もいます)。
60mm前後というのが一般的ですが、抱えにくいほど厚いとか、音色が犠牲になるほど薄いという場合以外はボディの厚さについてそれほど気にしなくても良いでしょう。
上の写真の2台はどちらもソプラノですが、ボディの一番幅の広い部分の長さが25mmも違います。しかし、厚さが同じであればボディ表面積の違いは抱えやすさにそれほど影響しません。
③楽器の重さ
ウクレレはストラップなどを使わず小脇に抱えて弾くことが前提の楽器なので、当然と言えば当然ですが、重さはあまり重すぎない方が持ちやすいです。
それに重い楽器は軽い楽器に比べて鳴らすのに大きなエネルギーが必要になるので、同じ強さで弾いた時の音量が小さくなる傾向があります。逆に軽すぎる楽器は鳴りが良くても音が薄っぺらくなってしまいますのでちょうどいい重さであることも重要です。マホガニーやハワイアンコアの単板ボディで極端に重いとか軽いとかはあまりありませんが、重い材(ローズウッドやエボニーなど)をボディに使った楽器ほど重く、軽い材(シダーやスプルースなど針葉樹系)のものほど軽くなります。
ボディに対してヘッド側が極端に重い楽器はバランスが悪く、構えた時に安定しずらいです。ペグの種類によってもヘッド側の重さが変わってきます。
④ネックの形状
ネックの太さの感覚はナット幅とネックシェイプで決まります。ナット幅は35〜36mmが一般的で、35mmでやや細め、36mmでやや太めといった感じ。34mmだと結構細く、37mmだとやや幅広に感じます。コアロハのように38mmくらいあるものもあります。
同じナット幅でもネックの厚みや形状(ネックシェイプとかプロファイルという)によって握り心地はかなり変わります。DシェイプはFamousのネックに近く、CシェイプはLUNA、個人製作家さんの楽器は演奏性にこだわり指板をやや厚めにしたり、ネック形状を非対称にするなどしていることもあります。2Fあたりのネックの厚みが15〜17mmというのが一般的なようです。15mmで薄いなと感じ、17mmだと厚めだなと感じます。個人的には15.5〜16.5mmくらいがちょうどいいと思いますが、感じ方は人それぞれなので実際に握ってみることをおすすめします。
⑤フレットの形状
フレットとは指板に埋め込まれた棒状の金属のことです。正式名称はフレットワイヤーといいます。指板に埋まっている部分をタン、表に出ている部分をクラウンと呼びます。このフレットクラウンの幅や高さの違いがかなり左手の弾き心地に影響してきます。
弾きやすさの感じ方は人それぞれですが、低すぎると押弦時に指先の肉が指板に当たりやすくなるので丁寧に押弦しないと音詰まりやビビりが発生しやすくなります。
高さは0.7〜0.9mmくらいが弾きやすく感じます。0.5mm以下だと低いなと感じます。幅は1.4mmくらいがちょうどいいと思います。1mmくらいの細いものもあるし、ギター用のフレットを使っている場合は幅が2mmくらいある場合もあります。
⑥弦高
弦高とは一般的に12F上でのフレットクラウンと弦の下側までの距離のことを言います。ウクレレでは2〜3mmくらいのものが多く、2mm以下だと低くて押弦しやすいが音詰まりやビレが発生しやすく、3mm以上だと高くて弾きにくいと感じます。2.5〜2.8mmくらいが標準という感じ。
通販などで現物を見れない場合は必ず確認しておきたい数値です。高い場合は基本的にサドルの底面を削ることで調整します。低すぎる場合はサドルの作り直しが必要になります。
おすすめの弦高ゲージ D’Addario PW-SHG-01
ウクレレの弦高を測定する際に便利な弦高ゲージ。ステンレススチール製のコンパクトなサイズで携帯にも便利です。ウクレレのコンディションを確認する上で弦高チェックはとても重要です。これを1つ持っておくと安心です。
ナット弦高について
ナット側の弦高も非常に重要です。高すぎると押弦に力が要るので指が痛くなりやすいです。ナットには弦を載せる溝が切ってあり、その深さでナット弦高は調整します。
右手の人差し指で3Fを押さえて、左手の人差し指で1Fをトントンと押さえたり離したりしたとき、1Fのフレットクラウン上にどれくらいの隙間があるかをみます。これがコピー用紙1枚分くらいの隙間であれば適正、広すぎればナット弦高が高いということになります。
ナット弦高が高いとローフレットでの押弦に必要以上の力が必要になるので、初心者の方は特にこの辺りがきちんと調整された楽器を選ぶことが重要です。すぐに左手の指が痛くなるという方はチェックしてみてください。
ネックが反っていたり、フレットの打ち込みや擦り合わせが雑でフレットクラウンの高さがバラバラな粗悪ウクレレだと、適正弦高に調整した際に音がビビったり、詰まったりすることがあるのであえて高めにしてあることもあります。まずそこをちゃんと確認する必要があるので、調整についてはウクレレに詳しいリペアマンに相談した方が安心です。
弦の太さや素材なども左手の弾き心地に影響しますが、交換できる消耗品なので割愛します。弦の違いについての解説はこちらの記事をごらんください。
⑦仕上げ
フレットエンドの処理、ナットの角の処理。ここが適当なものは弾いている時に指が当たって痛いです。指板が痩せてフレット端が飛び出しているものは論外ですが、フレット端のエッジを丸く削ってあるものは弾き心地も良いです。
ナットの角も尖っていると人差し指の付け根あたりが当たって痛いです。弾いていて痛くなる楽器なんていくら音が良くても弾きたくありませんよね。コストカットのためきちんと処理されていないことも多い部分なので、こういうところがしっかり処理されている楽器は良いウクレレである可能性が非常に高いと言えます。
ウクレレ選びに迷っている方へ
いろいろ細かいことを書きましたが、ウクレレは気軽に弾けるフレンドリーな楽器です。あまり数値的なことに神経質にならず、とりあえず楽しみましょう!
でもやっぱり、弾きやすい方がいいですよね。この記事の内容を参考にしていただき、今の楽器がいまいち弾きにくいなあと感じてる方は、お近くの楽器店で状態を見てもらったり、ちょっと良いウクレレを触らせてもらってみてください。
先にも紹介しましたが、まず当ブログの「後悔しないウクレレの選び方」をご一読ください。きっと皆さんのウクレレ選びのヒントになると思います。
もし初心者の方で、まだどんな音楽をやりたいのかも決まっていなければ、まず基本中の基本であるソプラノウクレレを買ってみることをおすすめします。
特に古今東西のあらゆる人種、老若男女が弾いてきたMartinのソプラノウクレレは、あらゆるジャンルのウクレレプレイヤーが1本は必ず持っていると言っても過言ではないほどの定番ですので間違いありません。Martinタイプのウクレレは、世界中の多くのウクレレメーカーがコピー品を製造販売しています。
本家Martinの現行のソプラノウクレレは超高級なStyle-5Kか、メキシコ製のS1(マホガニー単板)、S1K(ハワイアンコア単板)、OXシリーズ(ハイプレッシャーラミネート材)くらいしか選択肢がないのが現状です。メキシコ製は価格はお手頃ですが、品質もそれなりです。かといって良い時代のものを中古やヴィンテージの中から選ぶことはリスクが高いですし、状態の良し悪しを判別することはかなり難しいと思います。
なので、現実的な選択肢として、国内の個人製作家が作るウクレレを買うことを個人的におすすめします。長野県のSUMI工房やセイレン、山梨のフレインズ、岐阜のアンセスターズなど当店のある長野県周辺には素晴らしい楽器を製作している工房がたくさんあります。
最低でも15万円くらいの価格にはなってしまいますが、作りも良く、弾きやすく、音もよく、見た目もかっこいい。そして弾けば弾くほど、年を追うごとに音が良くなっていくので、楽器も自分も成長しながら一生付き合っていけます。高いと言っても、日本の熟練した個人製作家さんが作る楽器としてはお求めやすい価格だと思います。
10年程度が寿命と言われている電子機器と違い、50年でも100年でも使い続けることができるウクレレに10〜20万円かける価値は十分にあると思っています。
100年の歴史があるハワイの老舗ウクレレブランドKAMAKAだって一番安いものでも約20万円するんです。これは高級ウクレレの価格ではなく、スタンダードなウクレレの価格です。これが世界的なウクレレの標準価格といっても過言ではありません。
とはいえ、まだウクレレのことをよくわからない段階で高級な楽器を買うことに抵抗がある方、不安を感じる方は、1本目はお求めやすいもので全然いいと思います。そういう方には以下の記事が参考になるかもしれません。
ウクレレの楽しさにハマればもっと良いウクレレが必ず欲しくなるので、とりあえず気軽な気持ちでそれほど高くないものを買って始めてみて、続きそうなら思い切って良いのを買うのが個人的におすすめです。
電話やビデオ通話、対面での接客もできます!
当店はネットショップではありますが、専門的知識が豊富なスタッフによるお電話での接客、ZOOMやLINEなどのビデオ通話を使った接客も行っております。長野県松本市に事務所がございますので、松本までお越しいただければ実際に手に取って商品をご覧いただくことも可能です。電話や来店のご予約はオンラインショップの問い合わせフォームからお願い致します。
実は下取・買取もできます!
当店は長野県公安委員会から古物商の営業許可を受けておりますので、ウクレレの買取や中古楽器の販売をすることができます。買取査定は基本的にオンラインでさせていただき、宅配買取(こちらから箱を送りますので、必要書類と楽器を入れて送り返していただく)か、事務所(長野県松本市)の近くにお住まいだったり、売却したい本数が多い場合には出張買取もご相談ください。