ウクレレ専門オンラインショップ「カルチベイト・ウクレレ」です!大手楽器店でウクレレの販売実績日本一だった店主が考える「後悔しないウクレレの選び方」を、初心者の方にもわかりやすくお伝えしていきたいと思います。
全7回のシリーズの3回目となる今回のテーマは価格の違いについて!これまで予備知識とサイズについて解説しましたが、実際にウクレレっていくらくらいするものなのか?いくらくらい出せば良いウクレレが買えるのか?というところを解説していきたいと思います!
第1回の「予備知識編」をまだ読んでいない方は、ぜひそちらから読んでいただけますとより理解が深まると思います!
いくら良いものでも予算を大幅にオーバーしてたら買えないもんね!お財布と相談しながら、どのくらいまでなら出せるのか考えてみよう!
価格帯別の特徴を知って、予算で的を絞る
そもそも相場がわからないと予算も決められないですよね。まずは価格帯ごとの特徴を解説していきたいと思います!と、その前に!安いウクレレと高いウクレレ、いったい何がどう違うのかをざっくり解説しておきますね。
基本は自分が気に入ったもので、予算内でできるだけ高いものを選ぶのがおすすめですが、高ければ高いほど良いというわけでもありません。ただ、安すぎるものは最低限必要な性能すら満たしていないこともあるので注意が必要です。
どうやって決まる?ウクレレの販売価格について
ウクレレは安いものだと2,000円を切るものから、高いものだと100万円以上するものもあり、まさにピンからキリまで。同じウクレレなのにそもそもなんでそんなに価格が違うのでしょうか?
前回の記事「サイズの違い編」で、同じメーカー、同じグレードならサイズが大きくなるほど価格も高くなるとお話ししましたが、サイズを固定した場合は何の違いによって価格が変わるのでしょうか?
価格に影響する要素は主に以下の3つです。
- 使っている木材やパーツの違い
- 製造している国やメーカーの違い
- どれくらい手間がかかっているか
すごく当たり前のことなのですが、これらの製造コストと価格は比例します。材料費、人件費などのコストが上がれば価格も上がります。
基本的に価格と性能(音色・弾きやすさ)も比例しますが、製造国の違いによって同じ価格でも性能に差が出るケースもあります。
この記事は「新品購入」という前提で話をしていますが、中古やヴィンテージの場合は「どれくらいレアか」も価格に影響します。
使っている木材やパーツの違い
音が良くて見た目が美しいなど、貴重な材料ほど高くなります。ボディ材は薄い板を貼り合わせた合板(ラミネート)よりもそうでない無垢の板である単板(ソリッド)の方が値段は高くなります。
指板、ネック、ブリッジも材料の質が良かったり、希少な材を使っていると値段が高くなります。ペグやナット、サドルといったパーツも、音や性能が良いものほど高くなります。
製造している国やメーカーの違い
人件費などの製造コストの関係で、中国や東南アジアで造られたものより、日本やアメリカなどで造られたもののほうが高くなります。
同じ国でもメーカーによって価格は変わり、有名なブランドやビルダー(製作家)のものほど高くなります。輸入品である海外ブランドの場合、為替の変動も大きく影響します。
どれくらい手間がかかっているか
凝った装飾を施せばその材料代だけでなく装飾を入れるための手間ひまがかかります。丁寧な作業、丁寧な仕上げ、出荷時の検品を厳しくするほど高くなります。
逆に言えば安いものほどそういった手間をかけられません。
3つの要素が絡みあって価格が決まっているんだね。予算を決めるには、自分が何を求めているのか、どこに重点をおくのかが大事なんだね。
価格帯別のざっくりとした特徴
10,000円以下
価格は最安、そのかわり品質も最低レベルなので要注意。
とにかく安く始めたいと思っている方が最初に目星をつけるであろう価格帯です。ネットで「ウクレレ 安い」などで調べると5,000円以下の中国製ウクレレが山ほど出てきます。
価格の都合上、使っている材料やパーツの品質、仕上げのクオリティも最低クラスなので、チューニングも合わせにくいし、チューニングしてもフレットごとの音程が正確でなかったり、ネックが反っていたり、フレットのバリがひどかったり、正直おもちゃのようなクオリティのものばかりです。
予算の都合でどうしてもこの価格のものしか買えないということでなければ避けるのが無難です。屋外で乱暴に扱う予定だから壊れてもいいように、ディスプレイ用なので弾くことはない、など目的がはっきりしていれば良いかもしれませんが、弾けるようになりたいという目的で買う最初の1本にはおすすめしません。
どうしてもこの価格帯ということであったとしても5,000円以下のものはやめておきましょう。
5,000~20,000円
日本製にこだわらなければ最低限の品質のものが手に入る。
5,000円以下クラスと同じ中国製のものが多いですが、きちんと選べば実用レベルのものが買える価格帯です。
5,000円以下に比べるとチューニングペグの品質も多少良くなり、5,000円に近いものより20,000円に近いものの方が良い材料、良い品質になりますので同じブランドのものでも音色や扱いやすさが向上します。
この価格帯が定価の国産ウクレレはありませんので「Made in Japan」にこだわりがある場合はもうひとつ上の価格帯になります。
20,000~50,000円
日本製がいいけど安く買いたい or 中国製でも材料にはこだわりたい
日本製のエントリークラスや、安価なアジア製量産品のなかでもちょっといい材を使ったものなどが買える価格帯。日本を代表するウクレレブランド「フェイマス」のエントリーモデル「FS-1G」や、初心者に人気の「FS-5G」が買える価格帯でもあります。
フェイマスは比較的製造コストの高い日本国内で生産しているので、価格を抑えるためにアジア製の同じ価格のものと比べた場合、より安価な材料が使われていますが、品質が安定しているので安心感はあります。
この価格帯で買える日本製ウクレレはボディに合板(またはトップのみ単板)を使用したエントリーモデルになります。逆に製造コストの安いアジア製の場合、この価格帯でもボディが全て単板のものもあります。
これを製造国の違いによる価格と性能のねじれと勝手に呼んでいます。
ハワイアンコアやマホガニーなどの木材による音色の違い、合板、単板による音色の違いなどは、次回詳しく解説するよ!
50,000~100,000円
材料にもこだわったリーズナブルな有名メーカーの廉価モデル。
国産量産品のちょっと良いブランド(FamousのFシリーズ、LUNA、KIWAYA、tkitki、当店オリジナルのD0Mなど)のマホガニーやハワイアンコアの単板モデル、コアロハのオピオシリーズ(タイで製造)、マーティンのメキシコ工場製のものなど海外有名ブランドの廉価ラインが買える価格帯です。
ボディがハワイアンコア単板のものとなると、だいたいこの価格帯からになります。メキシコ製マーティンの「C1K」や「T1K」はハワイアンコア単板ですが、コアロハオピオの「KSO-10」は代替材のアカシア単板です。どちらがいいかは最終的に個人の好みですが、一般にハワイアンコアの方が見た目が美しく、ウクレレらしい音がします。この価格帯になると品質的に問題のあるものは少なくなります。
この価格帯に限らずですが、国産のもののほうが海外の有名メーカーの廉価ラインのものより仕上げが丁寧なことが多いです。海外の有名メーカーのものは価格に輸入コストやブランドの価値も乗っかっているので当然といえば当然ですね。
150,000~250,000円
有名メーカーの定番モデルから個人製作家による一点物まで。
定番のKAMAKA(カマカ)※注、KOALOHA(コアロハ)などのハワイを代表する人気ブランド、国内外の個人製作家が作った楽器などが買える価格帯。このくらいの予算があれば、最初の1本として申し分ないクオリティの楽器がたくさんの選択肢の中から選べます。
憧れのブランドだったとか、運命の出会いだとか、とにかく気に入った!という楽器がこの価格帯だった場合は、初心者さんの最初の1本だとしても買ってしまって全然OKです!テンション上がって練習が捗ること間違いなし!初心者には少しハードルが高いかもしれませんが、個人的に1番おすすめな価格帯です!
実はこの価格帯がウクレレの標準ライン!?
ウクレレに15万円!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの価格帯で買えるのが本来のウクレレとも言えるのです。
本来のというのは、ハワイ製で、ボディはハワイアンコア単板を使っているという意味です。この条件を満たすだけで、このくらいの価格になってしまいます。
15万円以下の楽器は、製造コストの安い国で作るとか、ハワイアンコアに代わる安い材料を使うとか、コストを抑えるために何かしらの工夫がされたものです。なので、決してこの価格帯が高すぎるわけではありません。
ソプラノだとカマカのHF-1(注1)、コアロハのKSM-00、ケリーのSG-Vなどがそれにあたります。日本の個人製作家の楽器でもボディがハワイアンコア単板なら15万円以上することがほとんどです。
人気の定番モデルは新品も高いですが、リセールバリュー(中古の価値)も高いので、大事に使っていればもし手放すことになっても高く売れます。
(注1)急速な円高、物価高の影響でKAMAKAのエントリーモデルHF-1は2024年7月現在、税込定価242,000円とかなり高額になってしまいました。10年前の倍近い金額です。
製造国やメーカーごとの特徴については「後悔しないウクレレの選び方⑤ メーカーの違い編」で詳しく解説しているよ!
250,000円以上
デラックスモデル、カスタムオーダーなどこだわりの1本
ハイグレードなハワイアンコアを使用し豪華な装飾を施したカマカやコアロハの上位モデルや、日本の個人製作家の作品のなかでもグレードが高い貴重な材料を使った高級モデルに手が届く価格です。
見た目も音色も弾きやすさも音程の正確さも一級品の、まさに一生モノのウクレレが手に入ります。一般的に1本目で買う価格帯ではないかもしれませんが、もしトキメキが止まらないほど気に入ってしまったなら買って損はないでしょう。
カスタムオーダーについて
憧れの個人製作家にカスタムオーダーをお願いして、とことんこだわった1本が欲しい!という人も少なくないと思います。こんな材の組み合わせで、こんなインレイをいれて、、と考えるだけで夢がふくらみテンション上がりますよね!
ただ、カスタムオーダーは慎重に決めないと悲しい結末を迎えることもあります。(そのあたりについては近日中に記事をあげる予定ですので、しばらくおまちください。)
価格が高くなると具体的に何がどのように変わるのかを解説した動画を作ってみました!
まとめ
必ずしも”高い=良い”ではない
基本は「楽器の価格と性能は比例する」なのですが、作り手の技術やノウハウが足りないことが理由で無駄に手間や時間などのコストがかかり、価格が上がってしまうケースもあります。
たとえば個人製作家と一口に言っても「キャリア30年の熟練の職人で、知識も経験も豊富、毎月10本以上ウクレレを作っている人」もいれば「キャリアは数年で、毎月3本のウクレレを作っている人」もいます。この場合、前者の方が材料の調達や作業の効率が良いので、コストを抑えることができ、品質に対して価格はそれほど高くならないかもしれません。
また、有名ブランドの高級品だからといって、新進気鋭ブランドのリーズナブルなウクレレよりも絶対に良いとも限りません。楽器の良し悪しについての評価は個人の主観によるところが大きいのでなんとも言えませんが、必ずしも”高い=良い”ではないことは覚えておきましょう。
ウクレレの相場、価格による違いがなんとなくわかっていただけたでしょうか?すぐ飽きてもいいからオモチャ感覚で安いものを買うのか、とりあえず弾けるようになりたいから最低限のものを買うのか、せっかくだから高くても一番気に入ったものを買うのか。
すでに1本目を買って後悔している人も、満足している人も、遅かれ早かれ2本目が欲しくなります(これは絶対です笑)。この記事があなたのウクレレ選びの一助となりますように!
次回はウクレレに使われる木材の違いが楽器に与える影響について解説します!
ウクレレのことなら何でもご相談ください!
私は全国展開している某楽器店でウクレレのトップ販売員として国内のウクレレ製作家さんやウクレレプレイヤーの方々との親交を深めてきました。製作家さんやプロのミュージシャンとお話しすることで、たくさんのことを学びました。店頭でたくさんのお客様と接することでも、とても多くの知見を得ました。ウクレレをお探しの方へのカウンセリングや購入相談の経験には特に自信があります。
当店は、従来の「お店にあるものの中からお客様に選んで買っていただく」だけでなく、しっかりとお客様のご要望をお伺いしてお客様にとって最適なウクレレ(それが当店に在庫がない商品だとしても)をご提案させていただきたいと考えています。これまでの経験と人脈を活かし、お客様のウクレレ生活をより楽しく豊かなものにできるようサポートしてまいります。お気軽にご相談ください!
電話やビデオ通話、対面での接客もできます!
ネットショップではありますが、お電話での接客、ZOOMやLINEなどのビデオ通話を使った接客も行っております(事前にご予約ください)。長野県松本市に事務所がございますので、松本までお越しいただければ実際に手に取って商品をご覧いただくことも可能です(こちらも事前にご予約をお願い致します)。電話や来店のご予約はオンラインショップの問い合わせフォームからお願い致します。
実は下取・買取もできます!
当店は長野県公安委員会から古物商の営業許可を受けておりますので、ウクレレの買取や中古楽器の販売をすることができます。買取査定は基本的にオンラインでさせていただき、宅配買取(こちらから箱を送りますので、必要書類と楽器を入れて送り返していただく)か、事務所(長野県松本市)の近くにお住まいだったり、売却したい本数が多い場合には出張買取もご相談ください。